2023-01-01から1年間の記事一覧
鬼洗いに列車は黙して止まる み
小晦日(こつごもり)、タクシー拾い「この住所」 み
チューニングずれたギターで年忘れ み
狸よ、見つめるだけじゃ伝わらない み
マッチを擦れ、鰭酒(ひれざけ)の蓋を取るぞ み
OBの自慢話に凍(こお)る箸 が
プジョーに乗ってサンタが帰ってきた み
ボーナスは有馬記念にオールイン み
住職かジングルベルのハミングは み
机下(きか)に紹介状を差出す冬至(とうじ) み
爪半分が紫色の冬日(ふゆび) み
焼き芋の皮にスポーツ紙の転写 み
開かずの蔵を開ける。湿気寒(しけさむ)の風 み
痛風(つうふう)に、塩雲丹(しおうに)、海鼠腸(このわた)、唐墨(からすみ) み
宿坊で私にとっての初雪 み
畳を替えれば縁(へり)に二度躓(つまづ)く み
レントゲン写真の如く冬木(ふゆき)折れ み
駅舎出てゴチャゴチャ消えて冬の空 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み
平穏の日々を乱すな冬薔薇(ふゆそうび) み
戸を開け放て。隙間風(すきまかぜ)はなくなる み
首都高下りる。ビル街へ冬日没(ふゆひい)る み
タオルを畳む。冬陽(ふゆひ)の香(か)を折り込む み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
買った葱(ねぎ)を持ったまま妻を見舞う み
12月、星を継ぐものに幸あれ み
コートを着たまま入(はい)るのが礼儀だ み
そうやないんや生きていけ枯れ葎(むぐら) み
スタジアム出てすぐに鍋焼きうどん み