鬢長(びんなが)、トンボ

「トンボの刺身だよ」 「羊羹(ようかん)みたいね」 み

カトレア、薊(あざみ)

カトレアの証言、覆(くつがえ)すアザミ み

雪月夜

稜線(りょうせん)が朦朧(もうろう)と立つ雪月夜 み

白魚

白魚(しらうお)が 透明から 醤油色に み

息白し

息白し、いまごろ好きと言われても み

幣辛夷

あの坂を登っていくと幣辛夷(しでこぶし) み

春浅し

ぎこちないプロトコルだね春浅し か

春闘

春闘次第なの金融政策 か <2024年の春闘の結果が日銀のマイナス金利政策を解除する条件となっている>

必ず5分後に咳が出る社長 か

海苔

朝食に出てくる『黒い紙』は? 海苔(のり) み

雲丹(うに)

馬糞(ばふん)を名乗るもヒトに喰われるウニ み

還付申告

配偶者のを先に 還付申告 み

クロッカス

ボクもキミもクロッカスが好きだった み

三茱臾の花(さんしゅゆのはな)

ビビるな、たかが三茱臾(さんしゅゆ)の花の下 み

淡雪

『淡雪』は舌に乗せると無重力 み

受験生

『受験生』階級にもう一年か が

霜焼

右耳を左手で触る霜焼(しもやけ) ま

薄氷、寒波

薄氷(うすらい)に寒波の空が歪(ゆが)み照る み

消炭、炉

消炭をヒトの形と炉に並べ み

蝉氷

戸の隙間 朝日の軌跡 蝉氷(せみごおり) み

初春

「初春(はつはる)や…」 無用の用ね、文字の列 み

春待つ

清流の岩陰や稚魚が春待つ み

立春大吉

どこから剥(は)がれ来た「立春大吉」 み

豆撒(まめまき)

いつ撒(ま)いた豆かを知らず掃除機の み

地震(ない)の寒(かん)、『かもしれない』の悔(く)いと居(い)る み <能登半島地震から一か月>

春隣

隣の子がビャーと走る春隣(はるとなり) み

枯庭

枯庭の掃出し窓に訪問者 み

機関車の肌はヌルッと暾(とん)に霜 み

空風

空風(からかぜ)の音のせぬ夜は不完全 み

枯桑

ブチブチと枯桑(かれくわ)が刺す鬱(うつ)の雲 の