バスの車内灯が近づく宵闇 み
薄霧(うすぎり)に影が横切る『黄』点滅 み
墓参り、バス待つうちに過雨(かう)乾く み
車高短(しゃこたん)のシルビアが晩夏を走る み
鈴鹿8耐おわり、東名阪 み
バス停に屋根なくて猛暑日ひょろろ み
夏至の夜(よ)はル・マンのトレーラーの夢 み
赴任地へバス乗り継ぐ間の麦秋(ばくしゅう) か
校長のセダンにウイング付く初夏 が
直6(ちょくろく)のエンジンフードに陽炎(かげろう) み
黄砂来て銀のポルシェにドラえもん み
朧(おぼろ)に ハイビーム受け 睫(まつげ)の影 み
チェーン捲く手順を浚(さら)い北帰行 み
小糠雨(こぬかあめ)、『空車(くうしゃ)』が来ない御堂筋(みどうすじ) み
リアエンジンぶおー 雪泥(ゆきどろ)の登り み
時雨(しぐ)るるかワイパーずずと掃き渋る み
椰子(やし)の実の落ちて凹(へこ)みのメルセデス み
涼風や三国峠のクロソイド み
タクシーで帰宅→夜濯(よすす)ぎ→「明日は晴れ」 か
青葉山、急カーブから灘(なだ)望む み
高速バス 冷えた窓 夏の星座 み
目印の夏木はどれよ君の地図 み
最終バスに乗り遅れ 薄暑(はくしょ)の夜(よ) み
消防車の二点鐘(にてんしょう)の間(ま)に安堵 み
堅雪(かたゆき)の丁字路(ていじろ)にソロリもヒヤリ み
雪道渋滞 先頭なにしとる み
雪上車 燃料計の針、憂(うれ)い み
時雨(しぐ)るるか 離島の藪 錆びた廃車 み
軽トラの焼き芋屋来る神無月 み
数寄屋橋(すきやばし)、左折するとき流れ星 み