小屋の古暦(ふるごよみ)に「アタック」の記(しるし) み
近づけば暗澹(あんたん)たるや野の錦 み
稜線(りょうせん)が朦朧(もうろう)と立つ雪月夜 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
杣路(そまじ)を辿りギャップに出れば小春 み
女学生の呵々(かか)が響くキャンプ場 み
生徒が下山、登山杖(とざんづえ)でチャンバラ み
「メヲアケロ、ネルトシヌゾ」橅(ぶな)の霧氷(むひょう) や
霙(みぞれ)に山。休憩所は閉鎖中 み
幻の茸(きのこ)へ藪漕(やぶこ)ぎ2時間 み
深山茜(みやまあかね)とまり リュック軽くなる や
青葉山、急カーブから灘(なだ)望む み
ヘリの音遠く日没、山眠る や
山仕舞い 主(ぬし)待つリュック 小屋に置き や
雲海見て くしゃみ出る 熊野古道 み
『健脚』も歩荷(ぼっか)に抜かれ杖を突く や
山で迷う、どうする? 黄花稚児百合(きばなちごゆり) や
富士に夕焼け 芝桜に吾(あ)の影 み