2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧
花見の帰り、電車待つ間の自省 か
コート脱ぎエスカレータにポッと乗る み
指を擦り合わせばスベスベと黄沙(こうさ) み
抽斗(ひきだし)を開けたけど、はて? 春の夢 み
花の陰、席の準備あるが無人 み
勝手に♯(しゃーぷ)を取られた 花の宴♪ み <作曲者の瀧廉太郎の没後、山田耕筰が編曲で♯を削除>
「太陽」を「大腸」と読む春の昼 み
ルールルル 騒ぐ者あり 夜半の春 み
父と歩くつもりだった母の春 み
8時間また齢をとる春の朝 み
ベランダにタオルが飛ぶよ春の雲 み
年度末、社内報は最終号 か
写生中に蝶が群がって邪魔よ み
朝寝して言い訳はダイヤ改正 か
捨てるものが決まれば暖かくなる み
あの橋を渡れば全て麗(うら)らかな み
筋肉痛(きんにくつう)が来る 春の風邪が来る み
約束の「こんど」はいつか、春休み が
部屋着のまま駅へ行く。春の闇に み
水温(みずぬる)む、かと思わせる洗面器 み
石垣を昇って天守、朝雲雀(あさひばり) み
合格のご褒美は自分で買うね が
撫肩(なでがた)の空き瓶に雪(ゆき)の雫(しずく)を み
スポッて筒の中は卒業証書 が
枝垂桜(しだれざくら)を天蓋(てんがい)に寝転(ねころ)がれ み
三椏(みつまた)の花(はな)のブローチを吾妹(わぎも)に み
韮(にら)を洗うと緑が溶け出てきた み
喉元にイガイガがあり雛あられ み
博士(はかせ):「これが『地獄の釜の蓋』じゃっ!」 み
不便だが不幸ではない春の泥 み