2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧
飛車切れば奴(やつ)の眼鏡(めがね)に西日照る み
夏夕べ欠伸(あくび)指南(しなん)の屋形船 み
サバンナをキリンの影絵、二日月(ふつかづき) み
凌霄(のうぜん)の花敷く径(みち)に其はあやか み
鰹(かつお)のたたき、生(なま)じゃないと言い張る み
四時に起こされた。『蓮見(はすみ)』というらしい み
綿柎開(わたのはなしべひら)き巻雲(けんうん)を吐く み
ハバネロを摘んだ指で涙拭う の
鳥たちよ乾涸(ひから)びたミミズ美味(うま)いか み
レコード盤、出品前に曝書(ばくしょ)す み
夜鷹(よたか)啼く空にそれほど自由なし み
8月はイングランドにいるという み
雲の峰、畳に寝てると電話だ み
医者が「あれっ」と言う 蒙霧升降(のうむしょうこう)す み
花園の向こう 父の口は『ヘ』の字 み
「大文字焼(や)き」と言う、他所(よそ)の人やね み
香烟(こうえん)のゆるり昇りゆく炎天(えんてん) み
銭湯へ遠花火(とおはなび)背に二人乗り み
法面(のりめん)の苔(こけ)、雨に蘇(よみがえ)り青 み
夏祭り、微笑むお面に無防備 み
女連れの教授に出くわす夜市 が
夜勤明け「ただいま」萎(しぼ)んだ朝顔 ど
雨乞(こ)うも泥濘(ぬかるみ)はいや移住の地 み
君(きみ)を知る 吾(われ)を知る 浜木綿(はまゆう)香る み
タクシーで帰宅→夜濯(よすす)ぎ→「明日は晴れ」 か
回し読む詩集戻らず原爆忌 み
渦(うず)分けるとき折れる蚊取線香 み
ヨットは快走。次の風が見える み
夏の朝、砂漠に希望の暗雲 み
日焼止め、耳に塗り忘れ『芳一』 み