初紅葉

仁清(にんせい)の皿にうつれる初紅葉 み

竹春

嵯峨野線を渡って竹春(ちくしゅん)に入(い)る み

吊忍

父の吊忍(つりしのぶ)、軒下にそのまま み

雷鳴、浮葉

雷鳴や浮葉(うきは)の雫(しずく)ブルッとな み

車前

この一番(いちばん)に出す車前(おおばこ)は手負い み

瓢箪

瓢箪(ひょうたん)や中身不用の実を結び の

凌霄の花

凌霄(のうぜん)の花敷く径(みち)に其はあやか み

蓮見

四時に起こされた。『蓮見(はすみ)』というらしい み

綿柎開(わたのはなしべひらく)、巻雲

綿柎開(わたのはなしべひら)き巻雲(けんうん)を吐く み

花園

花園の向こう 父の口は『ヘ』の字 み

朝顔

夜勤明け「ただいま」萎(しぼ)んだ朝顔 ど

浜木綿の花

君(きみ)を知る 吾(われ)を知る 浜木綿(はまゆう)香る み

病葉

『砂漠の思想』 病葉(わくらば)を栞(しおり)には み

紫陽花、鬼百合

紫陽花(あじさい)がいつの間にやら鬼百合(おにゆり)に み

葎若葉

無秩序の葎若葉(むぐらわかば)にゃ敵(かな)わない み

五月晴、立葵

五月晴(さつきば)れ、 立葵(たちあおい)、 頚椎(けいつい)痛む み

茅花流し(つばなながし)

茅花(つばな)流るる荒原(こうげん)を私(わたくし)す み

草餅、蓬

線路傍(ばた)の蓬(よもぎ) 草餅に入れた? み

六月花嫁、海芋、長葱

花嫁の持つは長葱(ながねぎ)?いや海芋(からー) み

緑陰、花見の席

この緑陰(りょくいん)、いつか来た花見の席 み

笹笛

笹笛を折ろうとして指を切った み

雪笹の花

雪笹(ゆきざさ)の花を下蕪(しもかぶら)に挿した み

酢漿草

その草に『酢漿草(かたばみ)』の銘(めい)ありと聞く み

早乙女、谷空木

谷空木(たにうつぎ)、髪に飾れる早乙女(さおとめ)の の

青葉

廃線のトンネル出て眩(くら)む青葉 み

登藤

登藤(のぼりふじ)、両手で包み撫(な)で上げむ み

李の花、蜂

養蜂(ようほう)の箱が並(なら)べば李(すもも)咲き み

ロベリア、蝶

ロベリアにどちらが蝶か花弁(はなびら)か み

鈴蘭

鈴蘭の純でもあり鈍でもあり み

アマリリス

アマリリス、力(ちから)の誇示を哀れむや み