残花

その歌を聴いた記憶に泣く。残花 み

プリムラ

プリムラが咲く フーガを練習する み

花疲れ

幻を愛してしまう花疲れ み

花の宴

勝手に♯(しゃーぷ)を取られた 花の宴♪ み <作曲者の瀧廉太郎の没後、山田耕筰が編曲で♯を削除>

夜半の春

ルールルル 騒ぐ者あり 夜半の春 み

麗らか

あの橋を渡れば全て麗(うら)らかな み

クロッカス

ボクもキミもクロッカスが好きだった み

『冬のリビエラ』を聴く。日本語ラジオ み

雪暗

雪暗(ゆきぐれ)に寺の燈(ひ)か無調の諷経(ふぎん) み

年忘れ

チューニングずれたギターで年忘れ み

ジングルベル

住職かジングルベルのハミングは み

冴ゆ

ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み

咳、ざわつき、譜面めくり、ジョン・ケージ み

秋桜(コスモス)

新婦の『秋桜(こすもす)』のアカペラに泣いた み

赤蜻蛉

赤とんぼ♪のイントネーションを自慢 み

盆踊り

「コレガ盆だんすデスカ?」 ちょちょんがちょん み

ヤン衆帰る

『石狩挽歌』を聴く。ヤン衆帰る み

小夜啼鳥

小夜啼鳥(さよなきどり)の不協和音の余白 み

春の闇

春の闇にトランペットの弱音 み

12月

12月深し、レコードに針(はり)置く み

落葉風

いま言うか そのサヨウナラ 落葉風 み

秋空

秋空や真空中を落ちる羽根 み

小鳥来る

小鳥来てオーブル街にユートピア み

曝書

レコード盤、出品前に曝書(ばくしょ)す み

8月

8月はイングランドにいるという み

夏の朝

夏の朝、砂漠に希望の暗雲 み

田植唄

「田植唄」と書かれたカセットテープ の

白鳥帰る

勝者のごと全て持ち去れ白鳥 み

雛祭

サトウハチローに騙(だま)され『おひなさま』 み

バレンタインの日

その曲は関係ないよマイファニー み