蜉蝣(かげろう)のなほ儚きや骸(がい)は塵(じん) み
深山茜(みやまあかね)とまり リュック軽くなる や
「君は誘蛾灯(ゆうがとう)」 なにそれ意味不明 ま
台風過ぎ 迷い蝶か 翅(はね)裂けて み
岩踏むと わっ船虫だ ガササササ み
鳥たちよ乾涸(ひから)びたミミズ美味(うま)いか み
起き抜けに気後れするや蝉の翅(はね) ま
その歌のあと、幾つもの蛍(ほたる)飛び み
蟻の列、歴史の岐路に逡巡(しゅんじゅん)す み
蝸牛(かたつむり)、おまえは化石になるのか み
五月蠅(さばえ)飛んで 網戸とガラスの間(あいだ) み
養蜂(ようほう)の箱が並(なら)べば李(すもも)咲き み
ロベリアにどちらが蝶か花弁(はなびら)か み
春蝉がとまるセータ女子高生 み
春の蚊か気配探れば耳鳴りよ み
窓の溝に凍蝶(いてちょう)いて閉められず み
蓑虫に、赤・青・黄の毛糸着せる み
コスモスに来る蜂は 花粉が目当て み
浅葱斑(あさぎまだら)に 500Km(ごひゃくきろ)の秋晴れ み
蟷螂(かまきり)に「カワイイ!」と言うは正見(しょうけん) み
蝗(いなご)の佃煮(つくだに)出て 静かならずや み
韮(にら)の花 蜜吸う蝶は 風に耐え み
左中間 赤蜻蛉(あかとんぼ)来る 巨人戦 み
蜩(ひぐらし)を聞いた気がする自習室 み
干して煮て蛹(さなぎ)殺して繭糸(けんし)繰る み
蠅捕蜘蛛(はえとりぐも) 昨日(きのう)の朝の お前か? み
蝶蜻蛉(ちょうとんぼ)のメタルの翅(はね) あったらな み
空蝉(うつせみ)を集めるは自由研究 み
紫陽花(あじさい)咲くも 蝸牛(かたつむり)、何処(どこ)行った み
黄金虫(こがねむし)の知らせ 換字(かえじ)にて読める み