横須賀のグレーの艦に明の雪 み
市振に一泊したよ冬の波 み
「東京は寒い寒い」と脅かされ み
新潟の北の隙間に雪しまき み
空っ風(からっかぜ)や死は殴りかかってくる み
地下道を抜けるや西口は時雨(しぐれ) み
榠櫨酒(かりんしゅ)で酔っぱらうとは荒木町 み
また手を洗っている金毘羅祭 み
無月に阿蘇の煙は青か金か み
秋の蚊の元気よき渋谷の暗渠(あんきょ) み
山を切り宅地を作り震災忌 み
青森駅は寂れていても暑い み
春暑し上(あが)レ下(さが)レと京の人 み
外務省の人らと流氷を見る み
そっちへ行けば嵐山。二月果つ み
宇治に来て雪時雨(ゆきしぐれ)なら喫茶店 み
風花が融けるレンズに岩木山 み
タクシーに並ぶ梅田の十二月 み
本籍地を訪ねて秋郊(しゅうこう)に立つ み
涼しいと涼しげは別、床涼み み
湯畑の煙が竦(すく)む炎天下 み
鮒鮓(ふなずし)は美味いと聞くが近寄れず み
八重桜 「おのぼりやす」 「おくだりやす」 み
どこから剥(は)がれ来た「立春大吉」 み
宿坊で私にとっての初雪 み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
地吹雪(じふぶき)映すテレビから冷気来る み
足湯に浸かり 傷秋(しょうしゅう)を 吹っ飛ばす み
「大文字焼(や)き」と言う、他所(よそ)の人やね み