風花が融けるレンズに岩木山 み
タクシーに並ぶ梅田の十二月 み
本籍地を訪ねて秋郊(しゅうこう)に立つ み
涼しいと涼しげは別、床涼み み
湯畑の煙が竦(すく)む炎天下 み
鮒鮓(ふなずし)は美味いと聞くが近寄れず み
八重桜 「おのぼりやす」 「おくだりやす」 み
どこから剥(は)がれ来た「立春大吉」 み
宿坊で私にとっての初雪 み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
地吹雪(じふぶき)映すテレビから冷気来る み
足湯に浸かり 傷秋(しょうしゅう)を 吹っ飛ばす み
「大文字焼(や)き」と言う、他所(よそ)の人やね み
笠上げ仰ぐ 城山の雪の閣 じ
あの煙、 叔父の栖(すみか) 炭焼き小屋 み
秋空、 照りにも降りにも皆地笠(みなちがさ) み
薪能(たきぎのう) 万葉の闇 銀の鬼 み
不知火(しらぬい)よ 思うべきか、 恐るべきか み
<2021年、神幸式大祭はコロナ禍のため一部規模縮小> 女(をんな)、追ひきて どんかん祭(まつり)に遇(あ)う じ
雲海見て くしゃみ出る 熊野古道 み
駅弁買おと窓上げる…あいの風 み
『健脚』も歩荷(ぼっか)に抜かれ杖を突く や
応挙忌に群鶴図(ぐんかくず)見る無量寺の み
施火(せび)を見る京都の人と他所(よそ)の人 み <2021年、コロナ禍のため京都五山送り火は規模縮小>
<回想でよむ。2021年、秋田竿灯祭はコロナ禍のため中止> 蓮(はす)は折れ 妙技大会 竿撓(しな)る み
<回想でよむ。2021年、青森ねぶた祭はコロナ禍のため中止> ねぶたの凹凸(おうとつ) 孫泣き、婆騒ぐ み
<2021年6月COVID-19まん延防止等重点措置下によむ> 聖火リレー 詠むを躊躇(ちゅうちょ) 五月闇(さつきやみ) み
梅ちぎり 瑞々(みずみず)し ゆくえ皺々(しわしわ) み
蜃気楼(しんきろう)、『 (くう)』を『Φ(ふぁい)』との数学者 み