撫肩(なでがた)の空き瓶に雪(ゆき)の雫(しずく)を み
初釜は火傷(やけど)しそうな缶コーヒ み
マッチを擦れ、鰭酒(ひれざけ)の蓋を取るぞ み
熱燗の湯気を吸うなり頭痛(あたまいた) み
産地ではなく品種で買う葡萄酒(ぶどうしゅ) み
10月祭、ブーツグラスでダッポン み
イチジクとクリームチーズとシャルドネ み
蟋蟀(こおろぎ)食べる前に牛乳(ぎゅうにゅう)飲もう み
柚子の皮、削(そ)いで捻(ひね)ってマティーニへ み
手酌(てじゃく)とは言わず自服(じふく)の瓶ビール み
冷酒(ひやざけ)は室温、冷酒(れいしゅ)は冷えてる み
さくらんぼ、メロンソーダに浮力得る み
水出しの新茶一口(ひとくち)、「嗚呼これよ」 み
このマティーニ 黒文字(くろもじ)の花? の香り み
桃花酒(とうかしゅ)を飲む仕種(しぐさ)など親に似て み <子供にはアルコールを含まないものを>
右近(うこん)の橘(たちばな)黄ばむ。熱燗(あつかん)かな み
嗄(か)れ声に花梨酒(かりんしゅ)が出る小路(こじ)のバー み
掘り出したカプセル 古酒のアルミ缶 み
神棚に新酒 われらは冷卸(ひやおろ)し み
午前二時、炭酸水(たんさんすい)飲む屋上 み
豆ごはん炊ける頃合いビール出せ み
『治聾酒(ぢろうしゅ)』飲んだ 聞きたいことだけ聞く み
冬深き静かなる夜(よ)をヴォートカを み
牡蠣(かき)喰らう 冷えたシャルドネ毒消しに み
飲み残しヴァンショーにする冬の朝 み
新酒は 非好適米にて 朴訥(ぼくとつ) み
<ナパ・バレーの山火事から1年> 葡萄酒醸(ぶどうしゅかも)す 火事を免(まぬか)れし谷 み
大薬缶(おおやかん) 麦茶、熱いか冷たいか み
めはり寿司二口(ふたくち)、 アイスティー三口(みくち) み
グラスに 苦味、馥郁(ふくいく) IPA(あいぴいえい) み