三椏(みつまた)の花(はな)のブローチを吾妹(わぎも)に み
韮(にら)を洗うと緑が溶け出てきた み
喉元にイガイガがあり雛あられ み
博士(はかせ):「これが『地獄の釜の蓋』じゃっ!」 み
不便だが不幸ではない春の泥 み
平等や公平が好き蕗(ふき)の花(はな) み
請求書が来てすぐに終わる二月 み
春苺(はるいちご)を弁当に入れてやろう み
「トンボの刺身だよ」 「羊羹(ようかん)みたいね」 み
カトレアの証言、覆(くつがえ)すアザミ み
稜線(りょうせん)が朦朧(もうろう)と立つ雪月夜 み
白魚(しらうお)が 透明から 醤油色に み
息白し、いまごろ好きと言われても み
あの坂を登っていくと幣辛夷(しでこぶし) み
ぎこちないプロトコルだね春浅し か
春闘次第なの金融政策 か <2024年の春闘の結果が日銀のマイナス金利政策を解除する条件となっている>
必ず5分後に咳が出る社長 か
朝食に出てくる『黒い紙』は? 海苔(のり) み
馬糞(ばふん)を名乗るもヒトに喰われるウニ み
配偶者のを先に 還付申告 み
ボクもキミもクロッカスが好きだった み
ビビるな、たかが三茱臾(さんしゅゆ)の花の下 み
『淡雪』は舌に乗せると無重力 み
『受験生』階級にもう一年か が
右耳を左手で触る霜焼(しもやけ) ま
薄氷(うすらい)に寒波の空が歪(ゆが)み照る み
消炭をヒトの形と炉に並べ み
戸の隙間 朝日の軌跡 蝉氷(せみごおり) み
「初春(はつはる)や…」 無用の用ね、文字の列 み
清流の岩陰や稚魚が春待つ み