衣替え、買ったまま着てない服や ま
ワイシャツの背の汗ぞ春終わりける み
春蝉がとまるセータ女子高生 み
春雨(はるさめ)に赤い傘借りる躊(ためら)い み
春陰(しゅんいん)には桃色牡丹の紬(つむぎ) ま
お誘いに単衣(ひとえ)を試す春暑し ま
春や フレンチネイル 部長は女性 か
料峭(りょうしょう)にまたダウンとか着てる姉 ま
善哉(ぜんざい)をシャツにこぼした針供養 み <2022年、今年はぜんざいのふるまいは中止かな>
「寒いのか、唇赤い」 「寒紅(かんべに)よ」 み
振袖に襷掛(たすきが)けキリリ通し矢 み
マフラー新調も 巻き方は昭和 み
ごみ出しにスキーウエアを凍(い)てる朝 み
このカシミヤコート 凍雨(とうう)を凌ぐか み
叔父のジャンパー着た 煙草の匂いだ み
縮緬(ちりめん)着たると 青北風(あおぎた)寒からず ま
小春日をT(てぃい)シャツで往く異邦人 み
秋袷(あきあわせ) 紅絹裏(もみうら)使い 世代経た ま
アロハシャツ 雑踏の皆 我避(よ)ける み
サンダルが片方熔(と)けるアスファルト み
日焼止め だけが身を守る 海辺に が
百葉箱の白、キャペリーヌの白 み
衣紋竹(えもんだけ)の紗(しゃ)が揺れて 霊(くし)ぶモアレ み
浴衣から放たれる、熱(いき)り・ 熱(ほとぼ)り み
難有(なんあり)も 絽(ろ)がお手頃で 有難(ありがた)し ま
葦簀(よしず)より透け見ゆ 日傘まわす君 み
<2021年5月COVID-19緊急事態宣言下によむ> 半袖捲(まく)り ワクチン打つ 夏の日 み
春日傘 UV(ゆうぶい)カット? 花透ける ま
<COVID-19流行下によむ> フェーンの仕組み知るも マスクどうする み
和光(わこう)前、裏山吹の重ね衿(えり) み <2022年6月追記:「銀座和光」は2022年6月、「セイコーハウスギンザ」と改称された>