夕凪(ゆうなぎ)に胸の騒ぎがひとつづつ み
炎(も)える鉄路、潮風、浜木綿の花 み
浜に光る煙は花火大会 み
熱砂は水虫に効くと言い伝え み
皐月波(さつきなみ)、眼鏡(めがね)に汐(しお)の拭けもせず み
青岬(あおみさき)、水平線を弧に曲げる み
洋上の風車(ふうしゃ)は愚図る朝の凪(なぎ) み
岩踏むと わっ船虫だ ガササササ み
夏の日沈み裾濃(すそご)めく藍の海 み
浪裏(なみうら)の壁画も新(あら)た海の家 み
砂浜にパラソル刺さる南風(まぜ)の朝 み
月涼し足を擽(くすぐ)る浜の波 み
金属探知器で撫(な)でる夏の霜 み
蟹釣れば 護岸は薄暮(はくぼ) 三番瀬(さんばんせ) み
波風(なみかぜ)に耐え 弘法麦(こうぼうむぎ)の花穂(はなほ) み
春一番に祖父は漁から戻る み
突堤の赤灯台で雪風巻(ゆきしまき) み
高潮に 軽トラ2台 鯱立(しゃちょこだ)ち み
秋の浜 反省もなく波寄せる み
君にもあったか 膝に海月(くらげ)の痕(あと) み
夏の月 浅瀬に手振る肌 蒼(あお)し み
日焼止め だけが身を守る 海辺に が
灯台の展望に出て夏の雲 み
不細工な凧 千切れ飛ぶ 東風(こち)の浜 み
春の波 海金剛の名に違(たが)う み
半島の縁(ふち) 防風を辿(たど)りし日 み
波の花 洗車の手間はヘドロ並み み