白靴(しろぐつ)にアンクルパンツは素足(すあし)よ ま
夏至夜風、石段下る下駄の音 ま
似合わないが買ってしまえパナマ帽 み
衣替え、買ったまま着てない服や ま
ワイシャツの背の汗ぞ春終わりける み
春蝉がとまるセータ女子高生 み
春雨(はるさめ)に赤い傘借りる躊(ためら)い み
春陰(しゅんいん)には桃色牡丹の紬(つむぎ) ま
お誘いに単衣(ひとえ)を試す春暑し ま
春や フレンチネイル 部長は女性 が
追いかけて下駄を滑らす彼岸時化(ひがんじけ) ま
料峭(りょうしょう)にまたダウンとか着てる姉 ま
善哉(ぜんざい)をシャツにこぼした針供養 み <2022年、今年はぜんざいのふるまいは中止かな>
「寒いのか、唇赤い」 「寒紅(かんべに)よ」 み
振袖に襷掛(たすきが)けキリリ通し矢 み
マフラー新調も 巻き方は昭和 み
ごみ出しにスキーウエアを凍てる朝 み
このカシミヤコート 凍雨(とうう)を凌ぐか み
叔父のジャンパー着た 煙草の匂いだ み
縮緬(ちりめん)着たると 青北風(あおぎた)寒からず ま
小春日をT(てぃい)シャツで往く異邦人 み
秋袷(あきあわせ) 紅絹裏(もみうら)使い 世代経た ま
アロハシャツ 雑踏の皆 我避(よ)ける み
サンダルが片方熔(と)けるアスファルト み
日焼止め だけが身を守る 海辺に が
百葉箱の白、キャペリーヌの白 み
衣紋竹(えもんだけ)の紗(しゃ)が揺れて モアレ霊(くし)ぶ み
浴衣から放たれる、熱(いき)り・ 熱(ほとぼ)り み
難有(なんあり)も 絽(ろ)がお手頃で 有難(ありがた)し ま
葦簀(よしず)より透け見ゆ 日傘まわす君 み