干柿

摩天楼を見張る出窓に干し柿 み

小春日

ランチへ着込んでビル出ると小春日 か

秋澄む

秋澄んで向かいのビルの会議見え か

庭木刈る

庭木刈る。解体するかこの家も み

守宮

ガラス戸に守宮(やもり)の足裏、視一視(しいっし) み

苔青し

法面(のりめん)の苔(こけ)、雨に蘇(よみがえ)り青 み

雨乞(あまごい)

雨乞(こ)うも泥濘(ぬかるみ)はいや移住の地 み

水遊び

イルカ跳(と)び ペンギン潜(もぐ)り 水遊び み

炭酸水

午前二時、炭酸水(たんさんすい)飲む屋上 み

「ここは鰻屋だった」と監査役が か

驟雨

驟雨(しゅうう)や、ロビーに居残り出会う運 ま

白雨

焦熱(しょうねつ)の舗道に ポツリは白雨(はくう)か み

冷房

たどり着く機械室の強冷房 み

五月蠅(さばえ)、網戸

五月蠅(さばえ)飛んで 網戸とガラスの間(あいだ) み

雀の子

ベランダで吾(あ)の悪口を雀の子 み

向日葵

向日葵(ひまわり)の群れこちら見る北の窓 み

彩霞

彩霞(さいか)透かし 焦げた街の影 悪寒 み

春郊

物件の地図に導かれ春郊(しゅんこう) み

日迎

日迎えに方向音痴の迷い道 み

寒昴

寒昴(かんすばる) 照る 到達至難の都市 み

松手入

通学路 『甚兵衛屋敷(じんべやしき)』は松手入(まつてい)れ み

和田倉門(わだくらもん)見ながら マロンシャンティイ み

応挙忌

応挙忌に群鶴図(ぐんかくず)見る無量寺の み

朝霧

朝霧晴れゆきて ビル群硬調 み

ハンモック

憧れのハンモック ベランダにあり み

夏館

草原に Wright(らいと) の謀(はかり) 夏館(なつやかた) み

夏至

十九時に 地球の影来(く) 塔の尖(さき) み

夏の雲

灯台の展望に出て夏の雲 み

朧月

林道に誰すれ違う朧月(おぼろづき) み

藤棚

中庭の藤棚(ふじだな)低き廃校舎 み